設備資金とともに、運転資金は事業資金の一部として扱われるものです。銀行以外でも融資を受けられる機関は多いものですが、申し込みを行う際に担保を検討したという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ここでは、運転資金の融資を受けるための担保の必要性、メリットやデメリットなどを合わせて解説しています。
これから運転資金の融資を検討しているという方は、是非ともチェックしてみてはいかがでしょうか。
運転資金の融資はどこで受けられる?
企業が安定した経営を行っていく上で、運転資金の確保は非常に重要なポイントとなります。運転資金は通常売上によって調達されるものですが、状況によっては手元に資金が入るまで期間を要してしまう事もあります。
仕入の際に売掛金や手形を利用していた場合は入金が月末や翌月となりますので、取引先の支払いの遅れとともに運転資金が不足してしまう原因となりえるでしょう。
通常、企業が運転資金を確保するためには銀行をはじめとした金融機関からの融資を検討します。せっかくですので、運転資金を取り扱っている主要な金融機関・事業者を少しご紹介します。
・銀行からの融資
おそらく、運転資金の融資元として真っ先に思い浮かぶのは銀行ではないでしょうか。運転資金は大手から地方までどのような銀行でも取り扱われていますが、設備資金など他の用途も合わせて「事業資金」という商品名になっている事が多いようです。
銀行はこの資金を大きく運転資金と設備資金に分けており、更に運転資金は下記のように細かく分類されています。金利は低いですが必要となる書類が多く、入念な審査が行われるのが特徴的です。
・経常運転資金
・増加運転資金
・減少運転資金
・賞与資金
・季節資金
・消費者金融や専門事業者からの融資
銀行以外でも運転資金を取り扱っている事業者は多くありますが、その代表的なものが消費者金融や専門の事業者です。
こちらも運転資金として取り扱われているものは少なく、「事業資金」ビジネスローンという商品名が多いのが特徴的。
例えば、消費者金融事業者であればアコムやアイフルなどの有名企業が、専門の事業者であればビジネクストなどがあります。
また、もう一つの特徴としては専用のカードで借り入れを行うカードローンタイプが普及している事も挙げられます。
カードローンタイプの融資は借り入れる場所や時間帯を選ばず、一度発行してしまえば何度でも利用する事が出来るなど多くのメリットを持っています。
必要とする書類も少なく銀行ほど審査は厳しくありませんが、その分金額の上限は低く個人事業主の利用が多くなっています。
「アコム ビジネスサポートカードローン」 https://www.acom.co.jp/lineup/business/
「アイフル 事業サポートプラン」 https://www.aiful.co.jp/topics/?cid=PG13H010
「ビジネクスト カードローン」 http://www.businext.co.jp/products/card_loan/
・日本政策金融公庫からの融資
国が100%の出資を行う日本政策金融公庫でも運転資金が取り扱われています。
普通貸付/マル経融資(小規模事業者経営改善資金)/特別貸付など融資制度が細かく分かれており、融資限度額や申し込み者の条件が設けられています。
小規模事業者の場合は基本的に事情に必要な運転資金と設備資金を対象としており、幅広い用途で利用出来るというメリットがあるでしょう。
融資までの期間は平均して2週間と公表されていますから、状況によっては銀行の融資よりも時間がかかります。
また、限度額は高額ですが必要とする書類が多く審査が厳しいのも特徴です。
融資制度は状況に合わせて幅広く募集が行われていますので、一度確認してみてはいかがでそうか。
「日本政策金融公庫 融資制度一覧」 https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/
運転資金の融資の際に担保は必要?金額の目安は1,000万円
上記でご説明した通り、運転資金の融資元は大きく3つに分けられるという事を理解して頂けたかと思います。
運転資金の申し込みの際に担保が必要かどうかは、主に「融資元」と「金額」である程度の傾向が見られます。
金額が低い事から消費者金融のみ担保不必要とするものが多いのですが、銀行や専門事業者・日本政策金融公庫では担保が必要な運転資金も良く見かけます。
また、金額の目安として、1,000万円以上となると担保が必要となる融資が多いようです。
ここでは、運転資金の申し込みの際に必要となる担保にはどのようなものがあるか知っておきましょう。
・不動産担保ローン
運転資金、事業資金の担保として最も良く知られているのが不動産です。
既にご存じの方も多いかと思いますが、不動産担保ローンは土地や建物を担保として設定します。
自宅をはじめ、所有している賃貸マンション・アパートなどが代表的なものでしょう。
融資の限度額は1,000万円~1億円まで存在しており、20年以上の長期で返済プランを立てるのが一般的です。
一言で不動産担保ローンと言ってもその内容は取り扱っている事業者ごとに細かく違いがあります。
固定・変動など金利の違い、利用限度額などを含めて自社のニーズに合った商品を選ぶ事が大切です。
また、不動産を所有しているからと言って必ずしも融資を受けられるわけではなく、申し込みの際は不動産の鑑定などが必須となります。
・動産担保ローン
事業者ローンでは上記でご紹介した土地や建物など、不動産を担保とするのが一般的です。
しかし動産を担保として融資を受ける事が出来るローンも存在します。
店舗で販売している商品の在庫、工場で使用している設備・機械などが動産となります。
トラブルが発生した後の動産の処分、動産自体の評価の難しさなどがあり不動産担保ローンに比べると数が少ないのですが、2005年に登記制度(動産譲渡登記制度)が作られた事で少しずつ普及しているローンです。担保とする動産の状態や種類にもよりますが、不動産担保と同じく利用限度額が高額なものも存在しています。
・「みずほ動産活用ローン」 https://www.mizuhobank.co.jp/corporate/finance/others/dousan/index.html
・「動産譲渡登記制度」https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8B%95%E7%94%A3%E8%AD%B2%E6%B8%A1%E7%99%BB%E8%A8%98%E5%88%B6%E5%BA%A6
担保有りの運転資金の融資を受けるメリット
運転資金の融資は担保が必要・不必要の2種類が存在する事が理解して頂けたかと思います。
また、担保を必要する運転資金は利用限度額が高額である事以外にもいくつかメリットが存在します。
最後に、そのメリットの中でも特に重要なポイントをご紹介しましょう。
・金利が低い
担保を必要とする事業資金の場合、その金利は低く設定されている事が多いものです。
通常、無担保の事業資金やビジネスローンは100万円~1,000万円ほどの金額によって金利が変動しますが、その幅は最低3.0%~最大18.0%が一般的。3.0%代になるのは800万円以上の借り入れの場合がほとんどですから、基本的に少額の借り入れの場合は10.0%~18.0%となります。
一方、不動産/動産を担保とする事業資金の場合は2.0%~5.0%と低い金利が特徴的。
金額が1,000万円を超えるものが多く返済期間も長いため当然と言えますが、売上の増加にともなって返済を繰り上げる場合などは十分メリットとなりえるでしょう。
・長期返済が可能
金利が低い事と合わせて、長期返済が可能なのも不動産/動産担保ローンのメリットです。
無担保のビジネスローンなどは3年・5年・7年の返済期間が設定されているのが一般的です。
一方の不動産/動産担保ローンは20年~30年の返済期間を設定する事が出来ます。
長期返済をする事で毎月の負担を抑え、キャッシュフローを安定させる事が可能なのです。
返済期間も含めて自社に合った融資元を選ぶ事で、場合によっては短期の借り入れよりも金利を減らす事が出来るでしょう。
【まとめ】担保の有無は自社の経営状態に合わせて選ぼう
いかがだったでしょうか。
運転資金の融資には、融資元の種類に関わらず担保の有無が存在します。
1,000万円までの高額な融資も増えて来ている事から無担保ローンが主流となっていますが、不動産/動産担保ローンには商品として注目されるだけのメリットが存在するのです。
自社の経営状態に合わせて、適切な融資元を選ぶのが良いと言えるでしょう。